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富山大学編

「薬」「和漢薬」に興味をもった時期やきっかけは?

インドネシアには、『Jamu(ジャムウ)』と呼ばれる古くから伝わる民間薬があります。これは主に植物を原料とする薬草で、塗り薬や飲み薬などさまざまな種類があり、健康の維持や病気の予防に効果があります。私が育ったのは、天然物(薬草)を日常的に使う習慣がある伝統的な文化地域でしたので、幼い頃からジャムウをはじめとする天然薬物を使用し、身近に感じられる環境で育ちました。ですから、薬について学ぼうと思ったのも自然な流れだったように思います。

富山大学に進学した理由は?

インドネシアでは、大学時代は化学を、大学院時代は薬科学を専攻し、修了後は研究所で天然物専門の研究員として働いていました。その際、大学院時代の指導教員(富山大学出身)に富山大学の高度職業人育成事業のことを紹介してもらい、留学に興味をもちました。なぜなら、富山大学は先進的な伝統薬の研究を行う大学として世界的に知られているからです。現在世界で実施されている伝統医学に関する多くの研究は、富山大学出身、または富山大学に関係のある研究者によって行われています。

母国大学と富山大学で、違いはありましたか?

現在参加している高度職業人育成コースの授業は英語で進められるため、日本語があまり得意でない私にとって、とても理解しやすく興味深いものばかりです。インドネシアの大学と富山大学では、日々の研究生活の在り方に少し違いがあります。富山大学では、毎日研究室に来て、朝から晩まで研究に没頭するという生活スタイルが一般的です。その分、博士課程の修了資格の一つである学位論文もはかどり、生産的かつ効率的な研究生活を送っています。一方、インドネシアでは、自分で研究計画を立てて、研究室に来る日も自由に設定できます。自分のペースで研究が行えるため、ゆとりのある生活が送れますが、研究・論文執筆においては生産的とは言えません。それぞれの研究生活を経験し、どちらのシステムもそれぞれ良い所があると感じています。

留学生同士、コミュニケーションはとりますか?

私の研究室は日本人よりも留学生の方が多く、韓国や中国など東アジア出身の学生のほか、東南アジア出身の学生もいます。彼らとは研究内容についてはもちろん、互いの国の文化や政治についておしゃべりもします。国籍・年齢・価値観などが異なる個性豊かな研究室仲間と異文化交流を行うことは、新しい考え方や視点を得る良いきっかけとなっています。

現在取り組んでいる研究分野とテーマを教えてください!

研究分野:天然物化学 研究テーマ:インドネシアの薬草から抗菌物質の候補を探索

(1)細菌のGTP加水分解酵素抑制活性に基づき、最もアクティブな薬草のスクリーニングを行います。
(2)アクティブな薬草を選び、その化合物を分離します。
(3)分離された化合物のGTP加水分解酵素抑制活性を分析します。

研究に使っている薬草は、以前富山大学に留学していたインドネシア出身の学生が母国から持参し、大学にストックされていたものです。私も2014年の夏に帰国した際に、母国から薬草を新たに持ってきました。それらは、2015年4月に富山大学に入学するインドネシア出身の学生が同じ様に研究に使う予定です。

人材育成プログラム編

インターンシップ先と研修期間・具体的な就業内容を教えてください!

インターンシップ先と研修期間

インターンシップ先:
テイカ製薬株式会社
研修期間:
2014年11月10日~11月21日(2週間)
内容:
目薬と滋養飲料の製造
インターンシップ先:
株式会社廣貫堂
研修期間:
2014年11月25日~12月19日(4週間)
内容:
医薬品(錠剤)の製造および製剤試作/医薬品の品質基準に基づく分析/海外販売マーケティング入門

基本的な一日の研修スケジュール

研修スタート 9時
研修内容 医薬品の製造と分析
昼休み 12時20分~13時
研修内容 医薬品の製造と分析
研修終了 17時

苦労した作業・難しいと感じた作業はありましたか?

私はテイカ製薬株式会社と株式会社廣貫堂という2つの製薬会社で研修を受けました。どちらの企業も毎日の研修計画やスケジュールがきっちり設定・管理されていたので、スムーズに研修業務が進行できました。初めて体験する作業もいくつかありましたが、両社とも研修担当の社員さんがとても親切にサポートしてくださったので、特別苦労した作業はありませんでしたね。

感銘を受けたことなど、印象に残ったエピソードがあれば教えてください

私はあまり日本語が得意でないため、インターンシップ先で社員さんとうまく意思疎通が図れるか、当初は不安を感じていました。しかし皆さんは、私が理解できるような簡単な日本語と英語を交えた言葉で話しかけてくださり、ボディランゲージも積極的に活用してくださいました。休み時間には、お仕事のことや互いの国のことについてなど、色々な話ができて楽しかったです。皆さんの温かい心づかいのおかげで、心配していたコミュニケーションも全く問題ありませんでした。テイカ製薬株式会社、株式会社廣貫堂の社員の皆さん、そして一緒にインターンシップを受けて私をサポートしてくれたコーディネーターさんには、心から感謝しています。

おもしろかった作業や、やりがいを感じた作業は?

株式会社廣貫堂で行った錠剤の製剤試作では、本来なら機械設備を使用してスピーディーに行われる錠剤の製剤(圧縮成形)工程を、一つひとつ手作動で行うという貴重な体験をしました。タブレットなどの錠剤にかける圧力を微妙に調整しながら、“どのくらいの圧力をかけると、どのくらいの硬さになるか”といった作業を繰り返し行いました。とても緻密で疲れる作業でしたが、錠剤の製造及びその物性試験が、試作段階で多くの時間と手間をかけて行われていることを身をもって体感でき、とても興味深い研修でした。

インターンシップ先の先輩の声

指導者からの学生へのメッセージ

インターンシップ先の先輩の声

指導者からの学生へのメッセージ

留学編

出身地はどこですか?またどのような街ですか?

インドネシアのジャワ島にあるジョクジャカルタ市出身です。王宮文化が色濃く残る豊かな伝統と文化を持つ古都で、おもてなしの心を持った友好的な人々が多いのが特長です。観光地としても人気で、世界遺産・ボロブドゥール遺跡(大規模な仏教遺跡)は大変有名ですね。昔ながらの歴史や伝統が残る点では、日本で言う京都に近いのかもしれませんね。
また、インドネシアの伝統工芸品である「バティック(ろうけつ染め布地)」は、地域によって伝統の色や柄が継承されていて、ジョクジャカルタ・スタイルの模様もあるんですよ。

日本に来て、カルチャーショックはありましたか?

インドネシアは、家の外や街路など街中の至る所に人が集まっていてとても賑やかです。それに対して日本は外で人々が集まる文化があまりないようですね。他の都市部などはまた違うのかもしれませんが、とても静かな環境に驚きました。それに、電車やバスなどの交通機関の中でも、日本人は静かにスマートフォンを操作したり読書したりして乗車時間を過ごし、ほとんどの人が話をしません。これらはインドネシアでは考えられません!

日本の伝統や文化で興味があることは?

一つは、時間に正確でマナーに厳しく、一人ひとりが自立している日本人についてです。例えば日本では若いうちから自立している方が多いと感じます。インドネシアでは、社会人になるまでは基本的に両親からおこづかいをもらって生活しますが、日本では多くの学生がアルバイトをして、自分でお金を稼いでいますよね。文化の違いを感じました。
もう一つは、日本の食べ物についてです。特に富山では新鮮で美味しい魚が食べられますが、驚いたのは魚の調理方法の豊富さです。日本では魚に魚介類や他の食材を加える創作料理がたくさんありますが、インドネシアでは、魚は単品かつシンプルな調理法で食べるのが一般的です。

日本のサービスやモノで、母国にもあればいいなと思うものはありますか

文化的で洗練された住環境は素晴らしいと思います。特に日本のインフラ整備における技術やシステム、運用力は世界トップレベルではないでしょうか。母国インドネシアでは、井戸水やガスボンベを使う生活スタイルを送っていた私にとって、日本で体験するあらゆる最先端のテクノロジーが興味深く感じられます。

将来の夢や目標について教えてください!

大学院修了後は母国の勤務先である研究所に戻ります。そこで、富山大学で新たに得たスキルと経験を活かし、天然物の研究を続けたいです。現在インドネシアには天然物の専門家が少ないので、私がこれまでに身につけた専門知識と技能を通じて組織を強化し、社会に還元していきたいです。将来的にはインドネシア国内での活動に留まらず、世界中の研究者・科学者との共同プロジェクトにも参加したいですね。

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