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富山大学編

「薬」「和漢薬」に興味をもった時期やきっかけは?

幼い頃から興味をもっていたという訳ではありませんが、韓国の木浦(もくぽ)大学で漢薬資源について専攻したことがきっかけで、薬、特に漢方薬について興味をもつようになりました。卒業後は、すぐに実社会に出るのではなく、漢方薬に関する高度な知識と技能を学べる大学院等に進学したいと考えていました。

富山大学に進学した理由は?

韓国の大学での私の指導教員は、富山大学大学院の博士課程を修了した方でしたので、富山大学のことは以前からよく知っていました。当時、私が抱いていた富山大学のイメージは「薬学研究者の憧れのステージ」でした。それは、実際に留学して学んでいる今も変わっていません。各研究室には薬に関する優秀で研究熱心な指導教員がいて、最先端の研究設備が整っています。それに製薬会社等でのインターンシップなど一般的な博士課程では得られない貴重な経験もできます。富山大学に進学し、毎日、本当に有意義な研究生活を送っています。

母国大学と富山大学で、違いはありましたか?

韓国の木浦大学と富山大学で行われる授業のスタイルはよく似ています。けれど、研究室のシステムは少し異なります。例えば韓国の大学の研究室では、一人の教員が専門教員として学生の研究指導を受け持つのが一般的です。しかし、富山大学では、一つの研究室に指導教員がなんと3人もいて、学生一人ひとりの相談に親身になって応じてくれます。さらに、3人の先生は、それぞれ異なる分野の薬学のスペシャリストなのです!優秀な先生方から幅広い知識やアドバイス、サポートを受けながら研究を進めることができる私は、とても恵まれています。

留学生に対するサポート体制で有り難いと感じることは?

富山大学は、生活費の援助や寮への優先入居(一年目)をはじめ、留学生に対する支援やサポート制度がとても充実しています。なかでも、日本での暮らしをあらゆる面でサポートしてくれるコーディネーターさんには本当に助けられています。日常会話や読み書きなど、日本語に関するサポートは特に有り難いです。私は日本語を「話す」ことはある程度可能なのですが、「書く」ことは苦手ですので、授業で日本語のレポートを書く際は、必ずコーディネーターさんにチェックしてもらっています。

現在取り組んでいる研究分野とテーマを教えてください!

研究分野:がん細胞生物学
研究テーマ:乳がん細胞におけるERKを介したErbB受容体のフィードバック阻害機構

乳がん細胞において過剰発現しているErbB2は、ErbB3とヘテロ二量体化を形成し、ErbBファミリーの中で最も強く下流シグナルを活性化します。そこで本研究では、ErbB2/ErbB3ヘテロ二量体においても同様のフィードバック阻害機構が存在するのかを調査しています。

人材育成プログラム編

インターンシップ先と研修期間・具体的な就業内容を教えてください!

インターンシップ先と研修期間

インターンシップ先:
クラシエ製薬株式会社 漢方研究所
研修期間:
2014年9月29日~11月7日
内容:
レンギョウの遺伝子解析を通した系統の分類とレンギョウ葉中のアルクチゲニンの含量の分析および分離、分離したアルクチゲニンの膵臓がん細胞での効果の調査

研修スケジュール

1~2週目 16種のレンギョウの葉を利用してgenomic DNAを抽出・遺伝子分析
3~4週目 シナレンギョウの葉を利用してアルクチゲニンの分離及び含量測定
5~6週目 分離したアルクチゲニンを用いて膵臓がん細胞での効果を確認

苦労した作業・難しいと感じた作業はありましたか?

インターンシップ当初は、初めての経験ばかりでとにかく緊張していました。日本の製薬会社を訪問するのは初めての経験でしたし、慣れない環境の上、未経験の実験もあり戸惑うことも多々ありました。しかしクラシエ製薬株式会社の社員さんは皆とても研究熱心かつ親切で、分からないことや不明点について丁寧に教えてくださいました。だからインターンシップにもすぐに慣れることができましたし、苦労した作業や難しく感じた作業も特にありませんでした。

日本の病院や製薬会社についてどのようなイメージをもっていましたか?

インターンシップを体験する前は、会社は厳しくて重苦しい雰囲気だというイメージをもっていました。しかし、実際にクラシエ製薬株式会社を訪問してみると、若い社員の方が多いこともあって大学の研究室のように和やかな雰囲気でほっとしました。昼休みには社員の皆さんと一緒にランチを食べながら、お仕事の話のほか、韓国の食べ物や映画、ドラマなどについてもおしゃべりしました。社員さんは皆、組織の一員として一人ひとりがきちんと自分の役割をこなしていることに感心しました。

インターンシップ経験で、身についた力はどのようなものでしょう?

これまでに大学の研究室で経験したことがある実験でも、日本の製薬会社では私が知っているものとは異なる手法で進められており、興味深かったです。大学の研究室から一歩出るだけで、新しい発見がたくさんあることを実感しました。何より、「仕事」として行われている研究・実験などの作業を、自分の研究と並行しながら体験できたことは、本当に貴重な経験でした。薬の開発フローについても、少しですが理解できて良かったです。

インターンシップ先の先輩の声

指導者からの学生へのメッセージ

留学編

出身地はどこですか?またどのような街ですか?

韓国の西南部にある木浦(もくぽ)市出身です。 木浦は古くから島と陸地をつなぐ要所として栄えてきた風光明媚な港街で、陸地からは多くの美しい島々が望めます。自慢は、港街ならではの新鮮かつ豊富な魚介類です。木浦には、タチウオの煮物、ワタリガニの和え物など美味しい郷土料理がたくさんありますが、なかでも「洪濁三合(ホンタクサマップ)」は特におすすめです!これは、ホンオ(漬けたガンギエイ)と茹でた豚肉をキムチの上にのせて食べる伝統的な料理で、キムチの酸味とホンオのピリッと刺すような風味が食欲をそそります。

日本に来て、カルチャーショックはありましたか?

たくさんありました。まずは親切で優しい日本人の人柄に触れて感激しました。それに「安全運転」をしっかり守っている日本の自動車文化にも感銘を受けましたし、一般家庭の住民が家の周りを掃除している姿も、あまり韓国では見かけないので興味深かったです。そして個人的にとても驚いたのがインターネットの設置にかかる時間について。韓国では申請翌日には設置可能ですが、日本では設置に数日かかるようです!韓国と日本は近いですが、色々生活文化が異なるものです。

日本の伝統や文化で興味があることは?

日本のテレビドラマや映画、漫画が好きで休日などを利用して楽しんでいます。どれもストーリーがとてもおもしろいです。テレビドラマでは木村拓哉さん主演の『HERO』、漫画では『ワンピース』が特にお気に入りです。これらは私にとって、最高のエンターテインメントであると同時に、日本語や日本の文化を学ぶための最良の教科書でもあります。登場人物が使う知らない日本語の単語や会話の内容を覚えたりしながら、日常生活の中で、スムーズなコミュニケーションがとれるように努力しています。また以前、ドラマ内で日本の伝統的な祭について紹介されていました。とても興味をもったので、機会があればぜひ体験してみたいです。

日本のサービスやモノで、母国にもあればいいなと思うものはありますか?

以前、研究室仲間で立山を訪れました。「立山」という日本酒はとても人気があるそうなので、韓国に帰る時は、お土産としてお酒が好きな先生や友人にプレゼントしたいですね。ほかにも京都や名古屋も訪問しました。日本には韓国と同様、美しい風景やおもしろい観光スポット、美味しい食べ物がたくさんあるのが素晴らしいです。

将来の夢や目標について教えてください!

2016年の春に富山大学大学院を修了した後は、母国である韓国に戻り、富山大学で学んだ知識と経験を活かしながらポスドク(博士研究員)として研究を続けたいです。今、興味がある研究テーマは、肥満や癌、アルツハイマーなどです。韓国には肥満で悩んでいる方がたくさんいます。肥満は高血圧や糖尿病などさまざまな病気を悪化させる原因となりますので、天然物を用いて、これらに有効な薬を開発したいです。そして将来的には、自分の研究を進めながら薬の未来を担う新しい人材の育成にも力を入れていきたいです。

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