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富山大学編

「薬」「和漢薬」に興味をもった時期やきっかけは?

私の家族は、叔父が有名な「中国医学の医師」、姉が「看護師」、兄が「薬剤師」という医学ファミリーです。そのため私は、幼い頃から伝統中国医学(TCM)の文化を教え込まれ、薬や漢方を身近に感じられる環境で育ちました。物心ついた頃から、自然と私も将来は伝統中国医学(TCM)の分野で薬や漢方に関する仕事に携わりたいと考えるようになり、中国では上海中医薬大学で漢方を専攻していました。

富山大学に進学した理由は?

富山大学の薬学部は、化学・薬学・製剤を体系的に研究することで知られています。なかでも和漢医薬学総合研究所は、日本の生薬と漢方薬医療に関する高度な情報提供を行うことで高い評価を得ています。先端的な和漢薬研究を行う日本で、そして富山大学で学ぶことは私の夢でした。富山大学薬学部での研究生活は、毎日の経験が自分の研究業務や技能の向上に役立つはずだ!と確信し、進学を決意しました。

富山大学で受ける授業の印象は?

中国で通っていた大学と富山大学での学びを比較すると、薬に関する専門的な知識を学ぶという点は同じですが、教育システムが少し異なっています。例えば薬剤師国家試験の受験制度です。日本の大学の薬剤師教育課程(6年制の場合)では、在学中に病院・薬局等での現場実習が学びの一部として組み込まれています。それらを履修すれば、卒業と同時に薬剤師国家試験の受験資格が得られる場合が多いようです。
一方、中国では、大学(4年制の場合)卒業後、社会で3年間の実務経験を積まなければ受験資格が与えられません。このように考えると、日本の大学では、即戦力となる人材を育てるために、「現場主義」を重視した専門的かつ内容の濃い学びが実践されていることが窺い知れます。

サポート体制で有り難いと感じることは?

今、私は生薬資源科学研究室に所属し、薬用生物の遺伝学的・生薬学的・成分化学的及び薬理学的多様性について学んでいます。最先端の設備が整った学習環境、優秀な講師による行き届いた規律ある教育指導体制は、和漢薬に関する専門的な研究技能をはじめ、多くの有益な経験を得るための最適な環境だと感じています。また富山大学では、日本語の授業や観光地訪問をはじめ、留学生が日本の文化を学び・理解するための多彩なサポート制度も用意されています。これらすべてが私にとって大変興味深いです。

現在取り組んでいる研究分野とテーマを教えてください!

研究分野:生薬資源科学分野 研究テーマ:芍薬(しゃくやく)の化学成分における抗アレルギー成分の探索

簡単に説明すると、ボタン科の多年草「芍薬(しゃくやく)」(中国産・日本産)から抗アレルギー成分を見つける研究です。RBL-2H3細胞の脱穎粒抑制活性に基づき、最もアクティブな芍薬を選び、その化合物を分離します。そして、分離された化合物の抗アレルギー抑制活性を分析しています。

人材育成プログラム編

このプログラムに参加した理由・きっかけについて

中国では大学卒業後、上海中医薬大学中薬研究院で生薬関係の仕事をしていました。その際、指導教員の知人である富山大学の先生に、この高度職業人育成プログラムのことを紹介していただきました。薬の産地として有名な富山県、そして世界的にも有名な薬科大学である富山大学で研究生活が送れる点。また在学中に、日本の病院や製薬会社で先進医療システムや企業文化を体験できる点に惹かれ、プログラムへの参加を決意しました。

インターンシップ先と研修期間・具体的な就業内容を教えてください!

インターンシップ先と研修期間

インターンシップ先:
市立砺波総合病院
研修期間:
2014年11月17日~12月19日、2015年1月5日~1月9日
内容:
病院での実務研修(薬剤の調剤/情報収集/薬剤の院内製剤/薬剤師研修/漢方の研究/電子カルテ操作など)

基本的な一日の研修スケジュール

研修スタート 9時
研修内容 電子カルテで患者様の病気・症状・検査結果、診断診療方法、薬歴、薬効などを調査
昼休み 12時~13時
研修内容 薬剤師と一緒に病棟に行き、患者様の服薬指導に立ち会い
研修終了 17時

感銘を受けたことなど、印象に残ったエピソードがあれば教えてください!

市立砺波総合病院では、多くの薬の薬効と副作用を学んだり、薬剤師さんによる患者様への服薬指導に立ち会うことができました。その際、特に印象的だったのが、日本で実践されている以下のような「人に優しい医療」についてです。これらは、不安を感じやすい患者様の心をケアできる素晴らしい制度だと思います。

(1)チーム医療
すべての医療スタッフが患者様と密にコミュニケーションをとり、信頼関係を築いていました。特に日本では、医師・看護師・薬剤師・栄養士等の医療スタッフがそれぞれの専門知識を生かし、協同で患者様をケアする「チーム医療」が進んでいて、感心しました。

(2)クリニカルパスウェイ
「クリニカルパスウェイ」とは、入院患者様一人ひとりの“医療行程表”のようなものです。初診から検査・入院・治療といった一連の行程をあらかじめ作成すると共に、一日ごとの医療料金を算出し、患者様に詳しく説明できるようになっています。また、医師・看護師・薬剤師・栄養士など医療スタッフは、クリニカルパスウェイが日々の行動指針になります。

インターンシップ経験で、身についた力はどのようなものでしょう?

日本の病院における麻薬や向精神薬の厳密な管理、薬情報の提供、患者様とのコミュニケーションの取り方など、たくさんのことが身につきました。将来、私が中国に帰った時には、インターンシップで経験した「人に優しい医療」を、これからの中国の医療提供の在り方について考える際の指針にしたいと思います。

インターンシップ先の先輩の声

指導者からの学生へのメッセージ

留学編

出身地はどこですか?またどのような街ですか?

中国の重慶(じゅうけい)出身です。アジア大陸で一番長い川「長江(チャンジャン)」や、「小三峡」という美しい渓谷など豊かな自然を有し、観光地としても人気があります。また、「土家族(トゥチャ族)」と呼ばれる美しい伝統衣装をまとった少数民族も有名です。日本に来て知りましたが、重慶にある「洪崖洞(ホンヤートン)」という街は、日本の人気アニメ映画『千と千尋の神隠し』のモデル(?)とも言われているようですね。

日本の伝統や文化で興味があることは?

今、私が住んでいる上海と日本は、社会的・文化的に似ている部分が多いと感じますが、近年日本が推し進めているゴミの分別をはじめとする環境保全に対する考え方や、伝統文化を守り続ける精神、そして先進的な医療サービスは、ぜひ中国に持ち帰りたいですね。帰国時は、お寿司やお刺身などの新鮮な魚介類をお土産に買って帰ろうかな。日本には美味しい食べ物が多いので、アイスボックスに入れてたくさん持って帰りたいです(笑)

将来の夢や目標について教えてください!

富山大学で学んだ後は、中国に帰り、上海中医薬大学の研究者または教員として生薬や中薬の研究発展に尽力したいと考えています。また、中国の医療サービスの強化・改善にも貢献したいです。将来的には、日本で学んだ知識を生かして、和漢薬の研究に関する両国の学術交流にも貢献したいと思います。そのためにも、日本にいる間に、高度な医療システムをもっと詳しく学ぶ必要があります。

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