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富山大学編

「薬」「和漢薬」に興味をもった時期やきっかけは?

中国では数千年にわたり、漢方をはじめとする伝統医薬(中医薬)が病気の治療に使用されてきた歴史があり、現在も多くの人々が “漢方医学の理論”を信じています。私の父もその一人で、私は幼い頃から中国伝統医学に関する多くの知識を教わりました。また中国では、風邪を引いた際などに、薬局などで市販の漢方薬を手軽に購入することができます。このように薬を身近に感じられる環境で育つうちに、徐々に薬や漢方薬に興味をもつようになり、高校生の頃から、将来は「薬学」について学ぼうと決めていました。

富山大学に進学した理由は?

中国の農業大学(中医薬学士課程)卒業後は、さらに薬学に関する幅広い知識を身につけるため、中国の有名な薬科大学の一つである瀋陽薬科大学大学院に進学(生薬学修士課程)しました。当時の私の担当教員が富山大学出身で、同大学の和漢医薬学総合研究所はアジアで最も伝統医学に関する研究が進んでいるという話を度々聞いていましたし、多くの中国人研究者が富山大学で学んでいます。このプログラムへの参加を進めてくれたのも、その先生です。こうした経緯から、私は自分の知識や技能の向上のために富山大学への進学を決意しました。

富山大学で受ける授業の印象は?

現在は、日本の学生と一緒に参加するマスターコースと、留学生だけで参加するドクターコース(高度職業人育成コース)の2種類の授業に参加しています。マスターコースの授業は日本語で進められるため、日本に来た当初(2013年10月頃)は、あまり授業の内容が理解できませんでした。しかし、留学生のためのサポートの一つである日本語の授業で学ぶうちに、少しずつ日本語が聞き取れるようになり、今では当初に比べて大分理解できるようになりました。ちなみに、日本語の授業はAからEまでレベル毎にクラスが分かれていて、私はBクラスが終了したところです。

現在取り組んでいる研究分野とテーマを教えてください!

研究分野:神経機能学 研究テーマ:骨砕補(こっさいほ)のアルツハイマー病治療作用の解明

「骨砕補(こっさいほ)」とは、シダ植物などの根茎を用いた生薬の一つです。名前は骨折の治療に効果があることに由来しています。補腎・活血・強筋骨等の効能があり、漢方では骨折や打撲・捻挫・腎虚の歯痛や耳なり・下痢・腰痛などに用いられています。これまで進めていた研究によって、生薬の骨砕補水エキスにアルツハイマー病の記憶障害改善作用もあるという新しい知見を得ることができました。そこでこの研究では、骨砕補エキスを投与されたマウスの脳内中のエキス由来の化合物を質量解析し、記憶障害改善作用に直接かかわっている活性成分を同定する研究を進めています。

人材育成プログラム編

インターンシップ先と研修期間・具体的な就業内容を教えてください!

インターンシップ先と研修期間

インターンシップ先:
ダイト株式会社
研修期間:
2014年9月29日~2014年11月7日
内容:
製剤研究室/分析研究室/製剤工場 /包装工場/品質管理部での職務経験/医薬品の化学分析の手法と医薬品製造工程での各種試験

基本的な一日の研修スケジュール

研修スタート 8時30分
研修内容 医薬品の製造と分析
昼休み 12時~13時
研修内容 医薬品の製造と分析
研修終了 17時

感銘を受けたことなど、印象に残ったエピソードがあれば教えてください!

ダイト株式会社では、主にジェネリック医薬品の製造部門や分析部門で実習を行いました。特に印象に残っていることは二つあります。一つは、製剤工場の厳重な安全管理・品質管理についてです。例えば工場内に入る際は衛生上、カバーオールを着用する必要があります。そのような格好に慣れていない私は、実習中、動きづらく少し不便さを感じていました。しかしインターンシップを終えた今では、医薬品の安全性確保のためには必要不可欠だと思います。
もう一つは、製剤工場内にある最新のPTP包装設備についてです。また、200kgはありそうな大規模な設備(流動層造粒機やロータリー打錠機など)で医薬品が製造される工程を見て、とにかく圧倒されました。同時に、高度に自動化されたシステムを目の当たりにして、製剤における効率化と品質向上策の実情を知ることができました。

インターンシップ経験で、身についた力はどのようなものでしょう?

ジェネリック医薬品の製剤技術と品質管理方法(医薬品の化学分析の手法と医薬品製造工程での各種試験方法)を、身をもって学ぶことができました。大学での研究生活では得られなかった数々の経験と企業の製薬部門の実態を知ることができ、とても貴重な経験でした。また、従業員の方々のまじめな勤務態度にも感銘を受けました。“医薬品に関わる医療人”の心得にも触れることができたと感じています。

インターンシップ先の先輩の声

指導者からの学生へのメッセージ

留学編

出身地はどこですか?またどのような街ですか?

中国河南省周口市の出身です。約2500年前に活躍した中国の思想家「老子」の故郷の一つとしても有名です。中国にはたくさんの美味しい食べ物がありますが、おすすめは、ホットポット(火鍋)や河南(かなん)省のラーメンですね。中国を訪れた際にはぜひ食べてみてはいかがでしょう。

日本に来て、カルチャーショックはありましたか?

富山に初めて来たとき、空気の美しさと雄大な自然、そして清潔で安全な生活環境に感激しました。日本は世界的にみても美しく、衛生状態の優れた国だと思います。それに日本人はとても親切で、心やさしい方ばかりですね。日本での生活や日本語でのやりとりが最初は不安だったのですが、富山大学の先生方も学生仲間も、インターンシップ先で出会った従業員の皆さんも、皆、私が理解できるよう、簡単な日本語を使ってやさしく話しかけてくださるので、当初感じていた不安も全くなくなりました。

将来の夢や目標について教えてください!

富山大学で学んだことを生かしながら、ポスドク(博士研究員)として、今進めている神経機能学に関する研究を続けたいです。フィールドについては、今はまだ決めていませんが、中国だけでなく日本やアメリカをはじめ、広い世界を視野に入れています。そして薬や漢方薬の研究について、日本との協力関係を築くことも私の夢の一つです。


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