生薬の「天然物化学」という学びの対象は母国大と同じですが、富山大学では有機化学だけでなく薬理学の知識も必要になります。一般的に生薬は成分を分析した後、生理活性実験を通して実用化されます。母国大では、韓国特産植物の有用な天然物としての可能性を調べるための成分分離・分析を行っていました。富山大学では、天然物から有効成分の分離・分析を行った後、さらに薬理作用の調査まで行っています。

韓医学研究院では漢方薬の基準を提示する仕事を行っていましたが、インターンシップ先ではそのような基準に基づき、新しい漢方製剤を開発するための規格試験方法の設定・分析について学んでいます。同じ生薬でも日本と韓国では実験方法や目的が異なる部分があり、それらを比較検討することで、自分の知識や経験を広げることができています。

インターンシップ先の皆さんは本当に優しく親切な方ばかりで、研修面はもちろん様々な場面でサポートしていただきました。特に、私が風邪をひいてしまった時の親切な心遣いは忘れられません。会社から販売されている漢方エキス顆粒剤と生姜茶をいただき、服用方法についても親切に教えていただきました。クラシエ製薬（株）の皆さんには本当に感謝しています。

以前は韓医学研究院に戻り、生薬や漢方の標準化研究を続けることしか考えていませんでした。しかしクラシエ製薬（株）での研修で、製薬会社の一員として新規漢方製剤の開発・分析業務を体験できたことで、一般企業の研究開発部門で働くことにも魅力を感じるようになりました。インターンシップでの経験は、将来について幅広い視野で考える機会を私に与えてくれました。

研究室では各自が目の前にある自分の研究を優先して行います。一方企業では、統一された目標やルールに沿って一人ひとりが各々の役割を担い、連携して業務を果たしています。個人ではなく共同体としての考えに基づき、自分の役割を誠実に果たすことの必要性を体感しました。他にも、大学から一歩外に出ただけで多くの新しい気づきや発見に出会い、本当に充実した時間でした。

今回の留学で学んだ日本の先進的な医薬学情報を韓国に持ち帰り、留学前に研究員として働いていた韓医学研究院の標準化研究センターで先任研究員として働きたいです。また、日本漢方医薬である「和漢薬」と韓国の伝統医薬である「韓医薬」について比較研究を進め、韓国韓医学研究院と和漢医薬学総合研究所の共同研究の推進に貢献したいと考えています。

富山は山、海、平地など豊かな自然の調和が魅力です。農産物や海産物にも恵まれ、富山で食べるお米や魚はとても美味しいです。また自然景観にも優れています。休日に海岸沿いで散歩を楽しむ際も、景色が美しいためとても気持ちが良いです。夏でも見ることができる「万年雪」もすてきですね。

日本のアニメとキャラクターが好きです。中でも熊をモチーフとした「リラックマ」というキャラクターは韓国でも人気があり、以前から文房具などを愛用していました。日本に来てからはより実用的なキャラクターグッズがたくさんあり、多くの商品を使っています。他にも日本には魅力的な文化が多く、特に「茶道」は滞在中に経験できれば良いなと思っています。

日本の美しい自然景観の中でも、“日本の北アルプス”と呼ばれる立山は本当に美しく、富山市内からでも壮大な景色を望むことができます。さらに私の一番のお気に入りである氷見（ひみ）には、富山湾上に浮かぶようにそびえる立山連峰を眺められるビューポイントがあります。そこから見る立山の景色はまさしく絶景です。