教員コラム~TOM'S薬箱~

「心不全」って、なんですか?

心不全とは、心臓の調子が悪くなったために体に必要な分の血液を送り出せなくなった状態をいいます。心筋梗塞をはじめ、心筋症、不整脈、弁膜症、先天性の心臓病が心不全の原因になります。高齢者では10人に1人が心不全をきたします。

心不全の症状について教えてください。
少し歩いただけで「疲れやすい」「息切れがする」という症状が心不全の特徴です。階段を上る時、掃除、洗濯、食事の支度などでこれらの症状を自覚される場合は、病気が進行していると思われます。トイレへの行き来もままならなくなり、夜、横になると胸が苦しくなり、安心して眠れなくなります。重症になると、溺れたように息苦しく、会話もできなくなります。
どのようにして診断されるのですか?
問診、診察とともに心電図、胸のレントゲン(写真参照)や体の表面から心臓の動きを観察する検査(心エコー)を行い、症状が心臓由来なのか、別の病気によるものかを診断します。
またBNP(血液検査)でも心不全がありそうかどうかがわかります。
レントゲンの比較
私はまだ心臓は悪くないと思いますが、気をつけることはありますか?
心不全の患者数は今後も増加していくと思われます。高血圧、糖尿病、高脂血症や肥満、睡眠時無呼吸があり、十分な治療をされていない方は心不全の予備軍です。もし1つでもあてはまるものがあれば、早く適切な指導・治療をうけることが大切です。
投薬を受けても症状がよくなりません。どうすればよいでしようか?
塩分の多い食事、暴飲暴食、過度の飲酒は心不全には大敵です。ストレスの多い環境もよくありません。薬やこれらの点を見直してもよくならない進行した心不全には、長期にわたる療養が必要になります。最近は心不全に対する非薬物治療が進歩し、在宅で心不全酸素療法やマスクによる陽圧換気療法が使用できるようになりました。心臓病があって、薬を調節しても息切れや倦怠感がとれない患者様は進行した心不全の状態にあると思われます。心あたりがあれば、お気軽にご相談ください。

●富山大学第二内科ホームページ