教員コラム~TOM'S薬箱~

階段などで息切れを感じることはありませんか?

COPD患者の喫煙者の割合

慢性閉塞性肺疾患とは、息をする時に空気の通り道になる「気道」に障害が起こって、ゆっくりと呼吸機能が低下する病気です。
以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」とされていた病気を、まとめて「慢性閉塞性肺疾患」と呼ぶようになりました。英語のChronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字から、最近はCOPDと呼ばれることが多くなりました。
日本でのCOPD死亡数は年々増加しており、厚生労働省の統計によると、2005年に14,416人(全死亡数の1.3%)がCOPDにより死亡し、死亡原因の10位、男性に限ると7位を占めています。2001年に発表された疫学調査では、日本には約530万人のCOPD患者がいると推計され、有病率は40歳以上が8.5%と高いことがわかりました。最大原因は喫煙で、COPD患者の90%は喫煙者です。また、喫煙者の約10~15%がCOPDを発症するとされています。主な症状は、せき・たん・息切れですが、軽症の患者さんの場合、普段は無症状で、階段の昇り降りなど体を動かした時のみに息切れを感じます。
COPDは長期間の喫煙歴とスパイロメーターという器械を使った簡単な呼吸機能検査を行い、息を深く吸い込んでから思いきり息を吐き出した時、最初の1秒間で吐き出せる息の量(1秒量)の努力性肺活量に占める割合(1秒率)の低下(70%未満)により診断します。

COPDの治療の基本は「禁煙」です。軽症のCOPDの場合、「禁煙」以外に特別な治療をしない場合もありますが、軽く考えて喫煙を続けていると呼吸機能は確実に悪化します。タバコへの依存が強い人はニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法によって、確実に禁煙が必要です。COPDの患者さんの呼吸機能の経年的減少率は禁煙2年以内に非喫煙者の減少率とほぼ同じになることがわかっています。"COPDで苦しまないためには、かかる前の予防(=禁煙)が一番です。そのうえで定期的に呼吸機能検査を受けてできるだけ早期に発見し、正しい治療を受けて悪化を食い止めることが肝心です。

富山大学附属病院 第一内科診療教授 丸山 宗治)