概要

事業の背景

我が国では,高齢化等により認知症などの神経疾患,がん等の難治性疾患や糖尿病を始めとする生活習慣病等が増加してきている。また,地球温暖化による気候の変化に伴いマラリア熱などの従来は熱帯・亜熱帯地域特有の疾病の増加が予想される。これらの対策として,治療薬開発が強く望まれ,新たな創薬資源の活用が必要となる。従来より医薬品開発の資源として,和漢薬等に使用されている伝統・天然薬物が広く用いられてきた。一方,アジア・アフリカ地域では地域特有の伝統医学療法や民間療法が引き継がれており,特有の気候風土とあいまって,用いられている薬物には多様な生物,薬理活性を有する未知の天然化合物が含まれている可能性が大きく,新たな創薬資源として大きな期待がもたれる。

事業の目標

新たな創薬資源を活用する研究拠点として,富山とアジア・アフリカ地域の創薬研究ネットワーク(Toyama-Asia-Africa Pharmaceutical Network, TAA-PharmNet)を構築る。TAA-PharmNetでは,富山大学の実績を基に,先進科学技術を用いて,アジア・アフリカ地域の伝統・天然薬物資源からから新規天然化合物を発掘し,新たな薬効評価に基づいた創薬研究を行う。対象疾患は神経疾患,難治性疾患,生活習慣病等や熱帯・亜熱帯地域特有の疾病として,新規医薬品の創製を目指す。具体的には①伝統・天然薬物資源(動植物や微生物)からの生物活性物質の探索,構造決定と薬理活性評価,②細胞・個体レベルでの化合物の薬効解析評価,③有機合成による新たな医薬品候補化合物(リード化合物)の創製研究を展開する。さらに,富山県内の製薬企業には,アジア・アフリカ地域への進出,現地工場での生産を計画している企業が複数あることから,本交流事業で構築される信頼関係や,育成される若手研究者の県内製薬業界へ輩出により,県内製薬業のアジア・アフリカ地域への進出,発展に寄与することを目指す。

事業の概要

下記の3つの研究グループを作り,共同研究を推進する。

  1. 単離・構造決定チームと薬理活性評価チーム:国際共同・新規天然物化合物ライブラリーの構築を図る。
  2. 薬効解析チーム:細胞・個体レベルでの既知薬物の他の薬効の開発,神経疾患,がん等の難治性疾患や糖尿病を始めとする生活習慣病等に対する薬効解析評価を行う。
  3. 有機合成チーム:有用化合物について,有機合成による新規リード化合物の創製を図る。

事業の概念図

概念図 金沢大学

※図の大学名をクリックすると各大学のサイトへリンクします。

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