メッセージ

『飲む目薬』の開発を目指して
薬剤学研究室は、1951年に旧富山大学薬学部薬剤学講座として発足し、1969年まで櫻井謙之介教授が1代目教授として、その後2000年3月まで小泉保教授が2代目教授として担当されました。私は2000年10月1日に3代目教授として富山医科薬科大学薬学部薬剤学研究室担当を拝命いたしました。2014年4月で教授に就任してから13年6か月が経過し、その間、国立大学法人となり、2005年10月に旧富山大学・富山医科薬科大学・高岡短期大学の統合にて、新富山大学薬学部へと移行し、2006年4月から富山大学大学院医学薬学研究部と配置換えとなり、現在に至っています。

細谷健一教授

当研究室では、高い研究水準を維持するだけではなく、薬物動態学・生物薬剤学的知識および実験技術の継承、新たな発見や達成の喜びの共有、そして互いに切磋琢磨できる環境の整備などを心がけており、高度な薬物動態学・生物薬剤学研究力と優れた人間性・コミュニケーション能力を有する人材の育成を目指しています。研究内容として、『血液網膜関門物質輸送であれば世界に通用するトップレベルの研究が富山で実施されている』と言われるようになるよう心に決めて取り組んできました。血液網膜関門輸送研究に着目したのは、私が南カリフォルニア大学薬学部留学時に取り組んだ結膜からの薬物輸送研究を通じ、『網膜への薬物輸送は点眼ではほぼ不可能であるため、全身循環血液から網膜へ薬物を輸送する方法論の確立が眼疾患治療上重要である』という考えに至りました。その後赴任した東北大学大学院薬学研究科/薬学部において、寺崎哲也教授との共同研究で血液脳関門輸送研究を行うに当たり、脳と同じ関門機構が備わっていると100年も前から言われていたにも関わらず、研究がほとんど進んでいなかった血液網膜関門輸送研究に挑戦したのが始まりです。最終的には、この血液網膜関門輸送系を利用した網膜への薬物送達、すなわち『飲む目薬』の開発を目標に据え、血液網膜関門機能の解明に日々挑んでいます。

薬剤学教授 細谷 健一