学会紀行 in オーランド(2018/6)

American Diabetes Association 78th Scientific Sessions に参加しました
大学院博士後期課程3年 今 寛太
博士後期課程3年にして、ADAに参加することができました。ここまでエストロゲン関連実験を共に進めてくれたラボメンバーの皆様、的確な議論により研究を導いてくださった先生方に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

開催地であるオーランドには有名なテーマパークが多数あり、沖縄と同程度の緯度に位置します。さながら南国の行楽地といった雰囲気でした。一方で、会場の中は青森出身の私ですら震えるほど強力な冷房が効いており、Tシャツ1枚の人やセーターを着こむ人たちが、人類の多様性を感じさせます。

世界の糖尿病研究を牽引する本学会においては、多岐にわたる研究報告、教育セミナーが行われました。新しいエビデンスの蓄積を受けて、本会において「2型糖尿病の高血糖管理に関するコンセンサス・レポート2018」の草案が示され、10月にはEASDで正式に新しい糖尿病治療の世界標準が示されることが発表されました。この報告は、日本人の糖尿病病態を考慮した上で、本邦における2型糖尿病治療のガイドラインにも影響することが予想されます。第一選択薬がメトホルミンであることに変わりはありませんでしたが、併用薬、第二選択薬の選定に関する最新の考え方をいち早く学ぶことができました。

また、私が第61回日本糖尿病学会、17回日韓糖尿病性腎症セミナー、分子糖尿病学シンポジウムなどで発表を聞いた研究が、大幅な進捗を遂げて国際的な舞台で発表されたのを目の当たりにし、他大学の研究の進捗速度に対し、身の引き締まる思いでした。冷房と合わせ、会場の体感気温は4°Cくらいに感じられました。

ポスター会場は広大で、本学に例えると薬学棟から和漢研の廊下くらいの距離をポスターが埋め尽くし、それが90列ほど並んでいました。すべてのポスターに目を通すことはほぼ不可能であるため、抄録検索システムを片手に議論を交わす姿が至る所で見られました。和田先生と小野木研究員の発表についても、熱心な研究者が数多く質問をしていました。私の発表についても、何人かの外国人研究者とDiscussionすることができました。

これまで、日頃の研究活動が学会発表や論文になるまでには、膨大な時間と才覚、そして高度な(しばしば高価な)実験が必要で、どこか他人事のように考えていました。しかし、小規模かつ単純な実験でも、発想力と合理性が伴うことで、大きな研究成果に繋がることがわかりました。今回のADA参加により得られた知見とモチベーションを生かして、残りの研究生活をより生産的に過ごしたいと思います。

最終日は学会が午前で終了したため、ジョン・F・ケネディ宇宙センターで、米国の宇宙開発の歴史を振り返るツアーに参加しました。1960年代から米国が有人宇宙飛行にかけた情熱と犠牲、アポロ計画達成までの紆余曲折を間近で体感できる感動体験でした。また、ビジターコンプレックスにはアトラクションがあり、宇宙飛行士になってスペースシャトルの打ち上げを体感することができ、良い旅の思い出となりました。