精神疾患・薬物依存の患者を救うために~発症メカニズムの解明~
うつ病、統合失調症や認知症などの精神神経疾患では、薬物療法が治療の大きな部分を占めます。効果のある薬の創生が患者さんの福音となることから、我々、薬学系研究者は全力で病因解明やモデル動物の作成に取り組み、治療薬の開発に繋がる研究をしなければなりません。本研究室では、行動薬理学、細胞生物学および分子生物学などの脳科学に関係する手法を網羅的に利用して、未開の"脳"を切り拓くことにより、精神神経疾患治療薬の創出に繋がる基礎および臨床研究を行っています。

主な研究テーマ
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新規神経機能分子の生理機能解明のための行動薬理および分子生物学的研究
精神疾患様行動を示すマウスの脳から新規遺伝子として私たちが見出したShati/Nat8L、PCLOおよびTMEM168を含め、精神疾患関連分子の脳での機能を解析しています。
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薬物依存の研究
ヒトはなぜ覚醒剤依存から抜け出せないのか、また、なぜ禁煙が難しいのかを検討しています。
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精神神経疾患モデル動物や細胞モデルの開発と治療薬の開発
新しい薬を創るためには、その疾患のモデル動物が必須ですが、患者病態に完全に対応したものの作成は困難なのが実情です。そこで、精神神経疾患発症の遺伝的要因と環境的要因について追求し、モデル動物の作成と治療薬の創生を目指しています。
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精神神経疾診断のためのバイオマーカーの検索
うつ病等の精神疾患の初期段階で診断ができる方法を確立し、かかりつけ医や患者さんが自分の病気に気づき専門医の診断を受けることを促すようにします。そのために、臨床医との共同研究を実施し、患者さんからのサンプルを使っています。
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老化促進遺伝子やアルツハイマー病の原因解明についての研究
老化が起こる原因や関連遺伝子について研究をしています。アルツハイマー型認知症の治療薬開発を目指して、原因解明をしています。iPS細胞を使ったり、オートファジーと認知症の関連についての実験もしています。
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薬学的臨床研究
上記のような基礎的な研究の他に、薬剤師が医療現場で直面している問題を解決するための薬学的臨床分野のテーマや薬学教育方法の構築についても取り組んでいます。