ナノサイズの脂質粒子を自在に制御して、生体膜の機能に迫る
界面化学をベースにした研究手法を用いて生体(特に生体膜上)での現象を解明することと、コロイド化学的知見を活かして製剤開発に寄与することを目標にしています。生体膜は細胞や細胞内小器官の内と外を分ける境界(界面, interface)の役割を果たしており、エネルギー変換や物質輸送、情報伝達といった多彩な生命活動の舞台となっています。我々は、生物物理学、生体界面化学の立場から、生体膜での生命現象を、空間構造(Å-μm)と時間構造(ns-min)の両面から明らかにする研究を展開しています。脂質とタンパク質が織り成す生体界面の複雑な時空間構造を計測し、生体膜が如何にして生命機能を担っているのかを、熱・統計力学などの物理化学やコロイド化学の言葉を使って説明することを目指しています。また、生体膜現象の基礎科学的な側面だけでなく、脂質やタンパク質分子がつくる複合体微粒子の解析を通じて、これを製剤へ応用することを指向した研究もおこなっています。

主な研究テーマ
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膜脂質のダイナミクス評価法の構築
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脂質輸送に関わるタンパク質の機能の解明
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HDL新生に関わる膜とタンパク質の作用機構の解明
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ナノディスクの構造解明とその応用
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脂質非対称膜の作製と機能の解明
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アミロイドタンパク質凝集機構の解明