卒業生からのお便り
市原 克則

市原克則

東京大学 医学部付属病院 特任研究員

国立障害者リハビリテーションセンター研究所 外来研究員

平成24年度博士後期課程修了

博士(薬学)

私は現在、東京大学と国立障害者リハビリテーションセンター研究所の研究員(ポスドク)として、神経科学とメカニカルストレスに興味をもって研究に従事しております。特に神経科学という分野に対して、私が病態制御薬理学研究室で大学院生として携わらせていただいた「脳の一領域である視床下部のインスリンシグナルと肥満の関連」という研究テーマを通じて興味を持ちました。

病態制御薬理学研究室では、糖代謝分野で今後注目されるであろう研究テーマを先取りして学び、発展させていくこともできます。私はその中で研究の厳しさを感じつつも、おもしろさ・やりがいを覚えました。先生方の教えを胸に、今も研究を続けております。

将来どのような職業に就こうとも、大学・大学院で学んでおくべきことは大きくは変わらないのだろうと思います。これからこの研究室の仲間となる皆さん、これから巣立っていく皆さんがこの研究室で諸先生方や先輩後輩と学んだことを胸に、それぞれの分野で活躍されることを祈念いたしております。

松本

松本 奈都美

聖マリアンナ医科大学病院 (薬剤師)

(平成21年度博士前期課程修了)

 現在私は神奈川県の大学病院に勤務しています。 病床数は1208床で、65名の薬剤師が勤務しています。 病院薬剤師の仕事は先に先輩方が書かれている通り様々な仕事があります。 当薬剤部は特に病棟業務に力を入れており、各病棟に専属の薬剤師が配置されています。 来年度からテクニシャンが導入される予定で、薬剤師がより専門的な業務に専念できる 環境が整ってきています。また、6年制の病院実習に対応して本年度から新しく学生教育課 ができ、課の職員を中心に学生の教育にも関わっています。

 大学病院は規模が大きい分いろいろな症例に触れることができ、 勉強会等も多く行なわれているので、幅広い知識を得るには適した環境だと思います。 業務が大変だと感じることも多いですが、日々新しい発見がありとてもやりがいを 感じています。

 当薬剤部には優秀な先輩が多くいらっしゃるので、 わたしも先輩方のようになれるように努力していきたいと思います。 そして患者さんが安心して薬物治療を受ける手助けができるようになりたいです。

添田 義行

添田 義行

理化学研究所 脳科学総合研究センター (研究)

平成20年度博士後期課程修了
博士(薬学)

 私は学部生のときに糖尿病領域の研究に魅力を感じたため、 糖尿病の研究を精力的に行っている病態制御薬理学研究室に大学院生として進学し、 5年間お世話になりました。 その間、私は2型糖尿病の発症機構の解明や糖尿病に関連した 認知機能障害の発症機序の解明といった研究に携わらせていただき、 研究の面白さや進め方など、様々なことを先生方から学ぶことが出来ました。 そして、現在、私は認知症疾患に興味をもち、 理化学研究所 脳科学総合研究センター アルツハイマー病研究チームで 認知症治療薬の探索の研究に従事しています。

 研究は上手くいかないことの方が圧倒的に多く、 苦しいこともありますが、病態制御薬理学研究室で培った知識や経験を生かし、 今後も邁進していきたいと思います。

古林 創史

古林 創史

国立循環器病センター (研究)

平成19年度博士後期課程修了
博士(薬学)

 私は、大学へ入学したときから医療に携わる職業に就きたいと考えていました。 大学院を卒業してからもその気持ちは変わらず、現在、循環器疾患の原因や治療法の究明に 取り組む日本有数の研究所の一つである国立循環器病センター研究所でポストドクターとして 研究に従事しています。

現在の研究テーマは、心臓において機能が明らかになっていないタンパク質の機能解析です。 とても難しいテーマですが、だからこそ非常にやりがいを感じています。 ポストドクターの性質上、限られた期間で成果を出さなければいけませんが、 なんとか切り抜けて、将来、医療へ貢献できるような研究者を目指しがんばりたいと思います。

香川 正太

香川 正太

国立長寿医療センター研究所 (研究)

平成17年度博士後期課程修了
博士(臨床薬学)

 私は今、国立長寿医療センター研究所で神経変性疾患の研究をしています。諸先生方のご指導で、 研究の面白さに目覚め、本研究室で博士(臨床薬学)の学位を取りました。

何かを解明したときの喜び、そして先生方や研究員との熱い議論、 1日1日が「感動」と「勉強」の日々です。ゴールに辿り着くまではつらく険しい道のりですが、 それを乗り越え、結果を得たときの喜びは何物にも変え難いものです。

もちろん臨床では薬剤部での製剤、病棟での服薬指導、若い研修医とともに病態の勉強もし、 臨床薬学専攻でしか得られない体験もしてきました。 臨床薬学博士として、今後も「研究」の成果が「臨床」に還元できる研究者でありたいと 考えております。

長野県立木曽病院

畔上 麻理

畔上 麻理

長野県 公務員 (薬剤師)

(平成17年度博士前期課程修了)

 現在私は長野県の職員として、長野県立木曽病院に薬剤師として勤務しています。

 県職員として採用されると、県庁、合同庁舎、保健所、県立病院、 研究施設などのいずれかに配属されることになります。配属先によって業務内容は様々で、 すべてを紹介するのは不可能ですが、医療や健康に関する法律に関わる仕事や、 県民の健康を広い意味で守る仕事が多いと言えるかもしれません。

 私の勤務する県立病院は、一般の病院と同じなので、仕事内容は想像しやすいかもしれません。 ただし、県立病院はその特性上、営利を目的とした一般の病院が進出せず、 医療が不足する過疎地にあったり、経営的に難しい分野の病院だったりするという特徴があります。 木曽病院も、香川県に匹敵するほどの面積を有する広い木曽地域にある唯一の病院です (写真をご覧ください)。過疎化、高齢化が進む木曽地域で、かかりつけ医としての機能から高次救急 までを担う木曽病院は、慢性的な人手不足であり、少ないスタッフで支えあって、 頑張って地域医療を支えています。

 薬剤師も少ない人数ながら、調剤はもちろんのこと、注射剤の無菌調製、病棟業務、 訪問診療、僻地での巡回診療等、幅広い業務をこなしています。 私は主に産婦人科病棟を担当しています。また、内科病棟の副担当でもあり、 年齢も疾患も様々な患者さんたちを担当するのは本当にやりがいのある仕事です。 まだまだ知識不足、経験不足を感じる毎日ですが、患者さんに安全な医療を提供できる 薬剤師を目指して、努力していきたいと思います。

内藤 麻衣子

内藤 麻衣子

病院勤務 (薬剤師)

(平成17年度博士前期課程修了)

 現在私は、大阪の病院に勤務しています。
病院薬剤師の業務は、薬局内での調剤のみではなく病棟へとその業務範囲の 拡大が求められています。私が勤務する病院でも各病棟の担当薬剤師がほぼ1日病棟で業務する 「サテライトファーマシー」としての形態をとっています。 病棟では移動式のクリーンベンチがあり、そこで注射薬の混合調製をしたり、 各患者ごとの薬剤整理、入院患者の持参薬チェック、服薬指導などを行なっています。 病棟にいる時間が長い分、入院患者の薬物治療により深く関わることができるため 薬剤師としての責任の重さ、やりがいを感じています。

 現在担当している循環器科は、急性期疾患の患者が多い病棟で、 患者は内服薬の数が多い上、しばしば変更もあるため、薬を服用しにくい、飲み間違える、 また服用したくないといった問題を抱えています。勤務経験が浅くまだまだ力不足感じる毎日ですが、 薬のことで患者が抱える問題を1つでも多く解決できることを目標に頑張りたいと思っています。

矢口 沙織

矢口 沙織

製薬会社勤務

(平成16年度博士前期課程修了)

 私は現在、製薬会社で臨床開発の仕事(開発モニター職とも言います)をしています。
臨床開発の仕事は健康なヒトや患者さんを対象に新しい「クスリの候補」の 安全性や有効性を調べるための臨床試験(治験)を行う仕事です。
 臨床開発には様々な仕事がありますが、現在、私が担当しているのは第@相臨床試験です。
(第@相では、主に健康な成人男子に「クスリの候補」を投与して、安全性や薬物動態などを 確認します。)臨床開発の中でも、最初に新しい「クスリの候補」と関わることができ、 とても魅力のある仕事だと感じています。実際の仕事は、オフィスで試験の準備などを行う内勤と、 実際に試験を実施していただく病院に訪問して先生や治験コーディネーター(看護師、薬剤師)の方と 打ち合わせや試験結果の回収を行う外勤がほぼ半々です。 北は北海道から南は沖縄まで全国に出張する機会があり、仕事以外にも多くの楽しい経験が出来ます。

まだ、実際に実務を始めて1年程しか経っていないため、毎日が勉強の日々ですが、 実際に自分が関わった薬が患者さんに届く日を楽しみにしています。

是永 壮史

是永 壮史

愛媛県 公務員(薬剤師)

(平成14年度博士前期課程修了)

 平成18年度から愛媛県立中央病院で病院薬剤師として勤務しています。以前は同県立三島病院で3年間勤務していました。 現在、私が担当している病棟は、糖尿病・呼吸器・心臓リハビリの3病棟です。

「調剤」業務はもちろん薬剤師として基本ですが、病院薬剤師の業務は、 今までの「調剤」中心の時代から大きく変わり、現在では当院でも、「調剤」業務以外に 薬剤管理指導・持参薬管理・外来化学療法・治験・tpn・pet・tdm等、 業務が多様化しています。ほとんどの業務に共通することは、「良い仕事」を行うためには 各部署との連携が必須条件だということです。 これからも、チーム医療の一員として有効かつ安全な医療を提供していくために、 薬のジェネラリストであり、かつスペシャリストである薬剤師を目指してがんばります。

薬剤師として県職員になると、病院だけでなく県庁などの行政機関・保健所・研究施設など 様々な業務に携わることができます。仕事内容がそれぞれ違うため、 様々な経験ができ、薬剤師の専門性が生かせる、とてもやりがいのある職場だと思います。