教授からのメッセージ

病態制御薬理学(臨床薬理学)研究室を20055月より担当させていただいています。「次世代の糖尿病治療を担う独創的なインスリン抵抗性改善薬の開発」と「次世代を担う医療人の育成」を本研究室の理念としています。「薬の都」である富山の地に根ざした特徴のある研究と教育をとおして、わが国の医療の発展に貢献したいと考えています。

  本研究室は、国民病として増加している2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症に代表される生活習慣病の病態として重要な、インスリン抵抗性の成因解明に基づいた新たな治療戦略の確立を目指しています。特に、我が国では「高齢化社会」と「晩婚化社会」が急速に進展することを見据えた2型糖尿病の新規治療法の開発に取り組んでいます。加齢に伴い2型糖尿病の発症は増加しますが、その原因の一つに摂食と覚醒を司る視床下部ペプチドオレキシンが関与することを見出し、睡眠・覚醒・摂食の適切な制御による2型糖尿病の発症予防の確立を目指しています。また、脳でインスリン作用不全が生じると摂食行動や認知機能の異常が生じることから、中枢でのインスリン抵抗性の改善により、高齢化社会で重大なアルツハイマー型認知症の改善作用を伴った新規糖尿病治療薬の開発を目指しています。さらに晩婚化に伴い増加する妊娠糖尿病の適切な予防と治療法を確立するために、性ホルモンの糖脂質代謝調節作用に着目して病態解明に取り組んでおり、本学医学部産婦人科学講座との共同研究により推進しています。こうした課題の全体像の解明には、分子、細胞、組織、個体レベルでの病態の理解が重要であり、内分泌・代謝学の統合的な研究手法を用いてオリジナリティーの高い研究と、研究室生活をとおして医療人としての人材育成を目指しています。

 多忙な中で楽しく活気のある学生生活を送り、各自の目標に向けた実力を身につけて、富山から世界に情報発信していく仲間を求めています。皆さまのご支援をよろしくお願い致します。