健康維持や疾患発症の仕組みと医薬品の効果を数理科学で解き明かす
生命の大きな特徴の一つは階層構造を持つことです。人間も、社会集団・個人・器官・組織・細胞・核酸といった、互いに複雑に影響し合う階層構造を持ちます。したがって、私たちの健康が維持される仕組み、疾患を発症する仕組みや、医薬品が効く仕組みを理解することは、このような人体の複雑さを深く理解することと表裏一体です。当研究室では、データサイエンス(DS)や数理モデリングの手法を組み合わせ、実験研究とは異なるアプローチによって、薬剤の作用機序や疾患発症の仕組みを解明する研究を行います。DSの手法では、共同研究先の協力の上で様々なデータを解析し、疾患発症やくすりの有効性・安全性に寄与する要素の発見を目指します。数理モデリングの手法では、未解明の生物学的プロセスの仮説を立て、計算機上でシミュレーションを行うことで、疾患発症や投薬治療の過程を評価・予測するための枠組みを作ります。DSと数理モデリングの両手法を用いて、数理科学・医薬学・生物学を横断する視点から、人体の複雑さを解き明かし、健康な暮らしを実現するための研究を展開します。
また近年では、医薬品の製造・販売をめぐる多くの場面において、DSを含む数理解析の応用に注目が集まっています。安全な医薬品の製造・供給に貢献するような解析手法や評価方法の研究にも取り組みます。

主な研究テーマ
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数理モデリングによる、医薬品作用や疾患発症のしくみの理論解明
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データ解析による、医薬品作用や疾患発症の差異をつくる特徴の抽出と層別化