膜輸送蛋白質の新規生理機能を解明し、治療薬開発につなげる
食物の消化・吸収において、膜輸送タンパク質(ポンプ、チャネル、トランスポーター)によるイオン、水、栄養素などの小分子輸送は、非常に重要な役割を担っています。薬物生理学研究室では、胃、腸、肝など消化器におけるイオン輸送機構の異常と疾患との関連性、とりわけ癌細胞における膜輸送タンパク質の新規メカニズムの解明を目的として、電気生理学、薬理学、生化学、分子生物学など様々な分野の研究手法を組み合わせ、分子レベルから組織、動物レベルまでの多階層的・多角的な研究を行っています。当研究室の具体的な研究ターゲットとしては、(1)胃酸の分泌に寄与する胃プロトンポンプ、(2)癌において異常な発現を示すナトリウムポンプ、(3)大腸における水分吸収および下痢発症に関連するイオンチャネル、(4)味覚の感受に関わるイオンチャネル(TRP関連チャネル)、(5)細胞の容積調節に関与する容積感受性アニオンチャネル、(6)機能未解明なオーファンカチオンポンプなどが挙げられます。我々は、膜輸送タンパク質が関与する生命活動の仕組みや病気の発症メカニズムを明らかにすることで、新しい薬の開発につなげ、社会に貢献したいと考えています。

主な研究テーマ
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消化管細胞におけるトランスポートソームの構造と機能の解明
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がん細胞におけるポンプ、トランスポーター、イオンチャネルの病態生理機能の解明
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細胞容積調節性アニオンチャネルの分子実体の全容解明
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Transient receptor potential(TRP)関連チャネルの生理機能の解明