生命の設計図・ゲノムに隠された暗号を解き明かす
近年、ヒトなどの真核多細胞生物では、多能性幹細胞から様々な組織や器官の細胞への分化とその逆行である脱分化は、遺伝情報の発現を調節することによって可逆的に制御しうることが明らかとなった。細胞核内に収納された遺伝情報の発現は、転写過程とそれに密接に関連するクロマチン修飾やRNAプロセシングなどの過程によって制御されている。私たちの研究室では、ヒト遺伝情報発現の制御機構とその破綻による疾病発症のメカニズム解明を目指し、以下の3つのテーマで研究を行っている。

主な研究テーマ
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RNAポリメラーゼⅡ(Pol Ⅱ)による転写開始機構の解明
Pol Ⅱと基本転写因子から構成される転写開始複合体のタンパク質修飾や構造変換による制御機構の研究。
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メディエーター複合体による遺伝子発現制御機構の解明
メディエーター複合体は、様々な転写因子からの制御シグナルを転写開始装置に伝える巨大複合体であり、生体の恒常性維持や細胞分化に中心的な役割を果たしている。メディエーター複合体中のキナーゼ活性をもつモジュールによる遺伝子発現制御機構の研究。
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Pol Ⅱ-CTDを介した遺伝子発現の協調的制御機構の解明
Pol Ⅱ最大サブユニットC-末端領域(CTD)は、転写の際にダイナミックなリン酸化を受け、様々なRNAプロセシングやクロマチン修飾に関与する因子の足場として機能している。CTDキナーゼとフォスファターゼの機能解析を中心とした、CTDリン酸化制御を介する遺伝子発現の協調的制御機構の研究。