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若手研究者座談会

富山大学薬学部 若手研究者座談会 ざっくばらんトーク

酒井 大石 藤井 池田 赤沼 安東 田渕 髙山 宮本

参加者

  • 酒井 薬物生理学研究室 教授 酒井 秀紀
  • 大石 薬化学研究室 助教 大石 雄基
  • 藤井 薬物生理学研究室 助教 藤井 拓人
  • 池田 生体界面化学研究室 准教授 池田 恵介
  • 赤沼 薬剤学研究室 助教 赤沼 伸乙
  • 安東 応用薬理学研究室 准教授 安東 嗣修
  • 田渕 分子神経生物学研究室 准教授 田渕 明子
  • 髙山 薬品製造学研究室 助教 髙山 亜紀
  • 宮本 薬物治療学研究室 准教授 宮本 嘉明
司会進行
薬物生理学研究室 教授酒井 秀紀
酒井

先生方、本日はお忙しいところ座談会にご参加いただきありがとうございます。これから、富山大学薬学部の現在の課題や今後取り組むべきことなどを意見交換したいと思います。よろしくお願いします。

1.富山県に根差す薬学部として

酒井

現在、富山県には、製薬企業が60社弱あり、関連企業を含めると100社弱あります。医薬品関連では、印刷やパッケージ、製紙など裾野の産業も発達しており、県には厚生部くすり政策課といって他県には無い課もあります。このように「くすりの富山」に根差す富山大学の将来について、先生方からご意見をいただきたいと思います。

安東

富山大学にはいろいろな学部や研究室が多いので、富山県の製薬及び関連企業が、ぜひ富山大学薬学部と一緒に研究をしたいという希望があるものの、まだうまくできていないことをいつも感じています。富山県のくすり政策課は、県の企業と大学が共同研究開発を行える橋渡し的な活動を行っていますので、大学での研究成果を活用するために、このようなくすり政策課の活動を積極的に活かし、県内企業とのコラボレーションを行っていくべきだと考えています。私は実際に、県内の製薬関連企業と共同研究を行っています。
大学で行っている研究成果を臨床試験に持っていくまでには、ハードルが非常に高いので、なかなか手を挙げて(共同研究をして)くださる企業がなかったのですが、くすり政策課の方が探してくださり、何社か面談して、共同研究していただける製薬関連企業が見つかり、現在、研究を進めております。

赤沼

特定の企業という形や富山県で新薬開発というのもそうですが、例えば薬を売り出し世に出すプロセス。もちろん新薬をつくるところもそうですけれども、新薬が出てそれをマーケットに出すとなったときに、どういう風な売り文句があるか、どういう風なデザインとか包装とかそのあたりを全部含めて、学部単位ではなく、むしろ富山大学として学部をまたがってやっていくとなったときに、何らかの形で薬学部の教員が架け橋となるように、きっかけをつくるようなスタンスも必要だと思います。

池田

研究成果を発表する機会が必要なのかなと。全学的な取り組みであれば、富山サイエンスGALAといったところで企業に大学の研究を紹介する機会があります。そういったことが始まってきているのだと思うのですが、薬学部としてもやっていった方がいいのかもしれないという思いはあります。

藤井

富山に多くの企業があるとしても、全国の大学が企業と共同したプロジェクトを行っているので、差別化はなかなか難しいと思います。まずは、富山大学薬学部としての特徴、例えば、和漢医薬学総合研究所、薬用植物園、医学部が同キャンパス内にあるロケーションメリットを積極的に利用して、自分達の研究に活かしていくという取り組みも必要だと思います。

田渕

今、日本は超高齢社会なんですね。富山県はその中でも高齢化がかなり進んでいると。富山県で健康寿命の延伸を考えている人はすごく多いと思います。その辺りの富山県民の意識を踏まえてやれたらいいのかなと思います。

大石

薬の富山というからには、やはり県民全員が健康であるというのをまずアピールできたらいいなと私も思います。

赤沼

企業との連携を考えたときに、どうなんでしょう?宮本先生のところだと実際、臨床系の研究室ということで、どちらかというと地域の薬剤師さんとか、医療関係の人との繋がりで話を聞く機会も多いと思うのですが。

宮本

先生方のお話を聞いていて思ったのは、創薬というか、薬をつくる側からの視点もあるのですが、実際に薬を使う側の人間、患者さんからの視点もある訳です。病院や薬局の先生方といろいろお話しさせていただくと、そういった視点の中にシーズになるものがいくつかあります。そういう意味では、我々の行っている研究を発信することも一つだと思うのですが、企業や病院、薬局がどんなニーズを持っているのかというのを聞いて、こちらが合わせる、譲歩する、お互いがそういうことをしていけば、よりよいものができていくのではないかと思います。
例えば、本当にちょっとしたことなのですが、錠剤一つとっても最近は薬の名前が印字されているものが多くなっているのに、未だに記号・番号だけのものがあってわかりにくい。これを統一して、誰にでもわかりやすくできないものかと思います。
また、当研究室では動物実験もやっていますので、臨床現場ではこうなんだけれども、動物実験でも同じ様にこうなるのかなあ?ということは言われます。つまり、ヒトでの現象を動物で再現することにより、問題の解決策を検討できないかということです。ですから、そのギャップをうまく埋めていけるように、臨床から基礎研究へ、そして再度、臨床へと還元していけたらと思います。

髙山

会社とのコラボレーションの話がありましたが、どちらが主導するのかが大きな問題になっていくのかなと思います。今の話ですと、相手のニーズを聞きながら、こちらが少し摺り合わせる形でやっていくのも一つの方法だと思います。私は、化学合成をやっているのですが、薬の種になりそうなものすごくいいものをつくったとして、それを世に発表してもそこで止まってしまう訳でして、そこで企業さんの力を借りるというのもまた別のコラボレーションの仕方かと考えています。需要があるものであればその会社で売り出し買ってもらえるものになります。化学者側としても多方面の研究者にいろいろなアッセイをしてもらえると合成した化合物の良さというのが薬学的に見つかるのではないでしょうか。このようなコラボレーションも一つの形ではないかなと思います。
やはり動物実験になると,使用する化合物量が研究室でつくれるものとは大きくかけ離れてしまうので、そういったところで企業さんの力をお借りできたらうれしいなと思っています。

大石

私の研究室では共同研究という形で企業とコラボレーションすることは少ないのですが、企業さんからこういう副反応がおきてしまって、これを防ぐにはどういうことを考えたらいいかという話はあります。大学には企業が持っていない知識や経験があるので、そういった技術を提供する。せっかく富山という地域にいるので、地元と密着した形で気軽に相談できる関係で、どういった技術でこうなっているのか言ってもらったり、むしろこういう研究をして欲しいということを言われたり、そのニーズにあった人材をこちらから出すような地域密着型の関係が築けたらいいなと思っています。

安東

現在、富山高等専門学校とも一緒に研究をやっているのですが、そこの先生方はものづくりが主で、その活用に関する売り込み方が積極的であることを感じています。自分達の技術をどう医療系に活かせますかという形で相談に来られます。つまり積極的に自分達から動いています。その一方で、今の我々は結構受け身の感じがします。外部から相談に来るのを待つだけでなく、自分達のシーズを積極的に外部に売りこまないといけないと思います。つまり製薬及び関連企業と面談を行い、「我々が見出したシーズの活用法は分からないけれど、こういったものは実際医療の現場で使えますか?」、「創薬という点でこういった化合物をどのような疾患に適用あるいは治療薬としてのシーズとして活用可能ですか?」など積極的に相談すべきだと思います。これまでの経験として企業側から、「もう少しこうやらないと臨床試験に持って行けないよ」とか共同研究開発までは繋がらなくても具体的なアドバイスを頂けます。このように、お互いに連携して良いものを世の中に出していくことは重要だと思います。