<戻る>

消費者運動から区議会議員へ

(42年卒)森 川 礼 子

(世田谷区議会議員)

薬剤師免許を持ちながら、全く畑違いの区議会議員をしているちょっと変わった同窓生として書かせていただくことになりました。

大学を卒業して4年ほど薬剤師として働きましたが、子育てで家庭に入り、環境問題や食品安全に関心を持って生協の共同購入に参加し、学生時代とは別の角度で「安全」や、「健康」ということを実践的に学んだように思います。例えば、今問題になっている狂牛病のことで考えてみれば、大学で学んだのは検査で定性・定量的に安全域にあればよし、ということでしたが、私の入っている生活クラブ生協では、綿密で正確な検査体制よりも、生育過程や流通過程が消費者にも透明であることの方が、本質的に信頼できる、と教えられました。

生産者と消費者の交流や学習会に参加してそのことを実感し、20年も活動を続けてきました。しかし残念ながら全ての人・全ての物が共同購入できるというわけではありません。社会全体が食べ物の安全を確保するためには法律や制度が必要であり、身近な区議会や都議会に代表を出して変えていこう、ということになりました。私も世田谷区で始めは仲間の女性を担ぐ側でしたが、1991年に自分が立候補する立場になり、厳しい選挙戦を仲間の女性たちの総力で勝ち抜いて今3期目(11年目)です。

環境問題や保健衛生分野を中心に、市民・消費者・女性といった立場で、調査や学習会をしながら、議会活動をしております。 私たちのような議員が増えるにつれ、男性中心で利権構造そのものだった議会もこの10年でずいぶん変わりました。薬学部で学んだ知識が直接役立つことはめったにありませんが、論理的に考え、企画し、発表する力は学生時代につけてもらったかなと思います。薬剤師会は支持政党があるようで、免許を活用していない私は登録もしていませんが、介護保険のことや学校薬剤師の仕事の関連で見ておりますと、今街の薬局の果たす役割はとても大切になってきていると思います。

さて所属する東京・生活者ネットワークは、東京全体で都議会議員6人・区議・市議55人の女性議員を擁するまでになり、注目されてきています。しかし私たちの政治理念は、地方議員は国政政党の下請け機関ではなく、市民の代理人であり、特権的な議員を作らないとしており、歳費は市民の政治活動資金と位置付け、全額を独り占めしません。また任期は長くても3期12年以内で次の人と交代すると決めています。私も来年の統一地方選で次の人を立て、バックアップする側になる予定です。いずれは、高齢になっても地域で暮らし続けるために必要な機能(居場所・しごと・人材・・)を作り出すことを夢見ております。

 

<戻る>