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鵜の岬(利用率日本一の公共の宿)

(35年卒)京 泉 清 男

この国民宿舎はなかなか予約が取れないと の噂を聞き挑戦してみた。 こゝの予約は3ヵ月前の月初から電話で受 付けるシステムになっている。8月1日8時30 分から数十回電話をかけて11時頃にやっと予 約がとれた。

訪れたのは昨年11月中旬、常磐線で日立の 先、上野から約160kmの川尻とゆう小さな駅 を降りるとお迎えのバスが待っていた。乗り 込んだお客さんは20名程ほとんどが中高年の 女性であった。道々運ちゃんのユーモアたっ ぷりの周辺や宿舎の紹介があり、宿舎の外観 は海に面して“鵜”がはばたいている姿をイ メージして設計されたとのこと。 笑顔でテキパキと受付を済ませてもらい、 巾広の廊下を係の人が荷物を持って部屋まで 案内してくれた。

かんぽをはじめ色々な公共 の宿にお世話になったがこんなサービスは初 めてである。 聞くところによるとこの国民宿舎は平成元 年以来13年連続で宿泊利用率日本一(平成13 年97%)とのことである。その間利用者の要 望に応えて平成9年に新館オープン、8階建て、 58室の堂々たる偉容を誇っている。

ひと休みした後、8階の展望台浴場に行っ た。眼下にまっ白な伊師浜海岸からいわき市 まで続く海岸線、遥か彼方に太平洋が広がる すばらしい眺望である。 こゝの温泉は地下1300メートルで掘りあて た自噴泉で46℃、ナトリウム硫酸塩・塩化物 泉、湯量毎分400とのことである。

レストランの夕食も仲々のものであるが、 特に目の前で揚げてくれたアツアツの天ぷら には感激した。 翌朝は宿をぐるりと囲んだ15ヘクタールの 広大な自然の森遊歩道を散策した。 薄暗い松林を歩いているとパッと前方が明 るくなり、松の木と断崖と白波が眼に入ると いう展望台も数か所あり、岬に居ることが実 感できた。

このコースの途中の切り立った崖の下に渡 り鳥の「海鵜」が安心して休める場所があり、 毎年飛来してくることから「鵜の岬」と名づ けられた由。そしてこゝは日本で唯一海鵜の 捕獲地としても知られ、年間30〜40羽の鵜が 長良川をはじめとする全国の鵜飼いの地へと 送られているとのことである。

すばらしいロケーション、快適な設備、食 事のおいしさ、低料金と3拍子も4拍子も揃っ ているが就中サービスの質が高い。 元旦の朝早くからリピーターになるべく電 話をかけ、4月初旬にまた訪ねることにして いる。

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