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中小病院におけるインターネットを活用した情報活動

(H3年卒)嶋 田 修 治

かつて平成5年度遠久朶に東大病院勤務時代のことを書かせていただきました。今回再び投稿の機会をいただき感謝いたします。現在は病床数47床の病院および関連診療所の薬剤業務全般の統括責任者として勤務しています。東大病院で薬剤業務全般のことがおおよそ把握でき、そろそろ外に出て新たなことをやってみようかなと思っていた頃、現在勤務している病院を紹介されました。

ところが中小病院勤務に対して一つの不安がありました。おそらく図書館は無いだろう、図書購入費も大学病院と比較すると雲泥の差があるだろう。そういう所に行くと情報からかなり立ち遅れてしまうだろうな?。しかしそんな私の不安を拭いさってくれそうな武器がありました。

我々医療従事者が日々の業務で発生した疑問点を解決する時に真っ先に利用するのがMEDLINE(米国医学図書館の作成する医学および関連分野の文献データベース)です。従来はデータをオンラインデータベースシステム提供会社やCD-ROM会社に提供するだけであり、大学病院などに勤務していない者にとっては、なかなか手の届かないものでした。

ところが米国政府の方針によって米国医学図書館が自らインターネットを通してデータと検索システムをユーザーへフリーサイトとして直接提供するという方向に転じてきました。(PubMed : http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ PubMed/)。私はこの流れがさらに加速し、インターネットを通じて多くの医療情報が得られるようになるのではないかと期待し、その可能性にかけてみることにしました。

着任と同時に職場でインターネットが利用できる環境を整えていただきました。現在のインターネットの普及は皆様がご存知の通りです。 さて実際にどんなことにインターネットを利用しているかを少しご紹介したいと思います。一番は患者、看護婦および医師からの問い合わせに関してです。だいたいのことは回答が可能になっています。

二番目は今流行のEBM(Evidene-based Medicine)に関してです。効果、副作用に関して薬剤を公平に比較検討し、採用医薬品の選定を行っています。また薬剤の適正使用に関する情報を作成し、院内各部署への伝達も行っています。術後の抗生物質使用に関しても改善することができました。これらはすべてPubMedで入手した情報に基づいています。

先日も薬剤的な面から静脈点滴注射剤の衛生管理に関する院内指針の作成をしてほしいと依頼があり、早速インターネットを利用して班研究の指針やCDCガイドラインを入手し、当病院における指針作成に関与することができました。 このように院内に立派な図書館がなくても、職場にパソコン1台あればかなりのことができる時代になりました。情報のバリアフリーは今後ますます加速すると思います。

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