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「医薬品品質保証・評価学講座」開設記念講演会を開催しました

 富山大学薬学部は、2022年4月に日医工株式会社とともに「医薬品品質保証・評価学講座」を開設し、7月28日(木)に開設記念講演会を開催、本学学生や教職員、富山県薬業連合会、県内製薬企業、富山県など約140人が参加しました。

 本講座には、鳴瀬諒子客員教授、原 朱音客員助教の2名を配置し、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)」やデータサイエンス(DS)に精通した人材養成のための実践教育等を遂行すること、県内製薬企業の医薬品の製造管理・品質管理等に貢献すること、さらには本学がリード拠点として企業や大学、医療機関、官公庁等との間で多角的な連携を促進していくことを目指します。

 酒井薬学部長が開会の挨拶において、全国で初めてGMPとDSの専門教育というユニークな講座が立ち上がることができたことへの謝辞とともに、本講座の開設に伴い、より卓越した薬のプロフェッショナルの養成を目指していくと述べました。

 つぎに、日医工株式会社取締役 責任役員 品質管理本部長の成瀬寛俊氏よりご挨拶をいただき、講座開設について、「富山から大きな研究が出てくる、新しい時代、人材が生まれる機会に繋がっていく」と述べられ、また、~富山第一工場「品質管理への取り組み」~と題し、品質向上の15の改革について紹介されました。

 その後、祝辞を宇津 忍 氏(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事)、櫻井信豪 氏(東京理科大学薬学部 医薬品等品質・GMP講座 教授)、中岡慎治 氏(北海道大学大学院先端生命科学研究院 准教授)、石田美樹 氏(富山県厚生部 くすり政策課 課長)、森 和彦 氏(「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム事業責任者)よりいただきました。

 宇津氏は、令和4年度よりPMDAで新たに取り組む医薬品等の品質確保に向けた事業を紹介され、製薬現場でのGMPの適切な理解・運用の浸透を図るため、本講座による人材育成への期待を述べられました。

 櫻井氏は、GMP教育が果たす社会貢献の意義と今後富山大学とも連携を取って教育や研究を進めていくことに期待を寄せられました。

 中岡氏は、本講座において品質管理とデータサイエンスを同時に学べることは価値ある稀な教育体制であるとし、学びを創薬研究や臨床現場で活かしてほしいと述べられました。

 石田氏は、魅力的で有意義な講座で県も大きな期待をしていると述べられました。
 森氏は、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムについて紹介され、本講座について、富山でしか学べないプログラムであると述べられました。

 続いて、富山大学薬学部 医薬品品質保証・評価学講座の鳴瀬諒子客員教授、原 朱音客員助教による記念講演がありました。

 鳴瀬教授は、これまで医薬品製造工場での品質保証業務やPMDAでのGMP査察などに携わり、本年4月にPMDAから富山大学に出向の形で着任しています。
 鳴瀬教授は、医薬品の製造管理・品質管理のためのGMP(Good Manufacturing Practice)を教育・研究する講座が、国内の大学で3番目に富山大学に開設されたことを挙げ、「本講座では、GMP分野では、日本のGMPに精通した人材の育成を促進するため、学生へのGMP教育の普及、医薬品企業のGMP教育の基盤づくり及びGMPのレギュレーションの発展を目指すとともにGMP講座がある東京理科大学及び熊本保健科学大学とのアカデミアとしての連携を進め、また、“くすりの富山”という富山の特色を生かし、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムとも連携を図り、GMP教育、研究及び実践を通して、富山大学から社会で活躍できる優秀な人材の輩出に寄与したい」と述べました。
 また、昨今、頻発している医薬品での不正製造問題や医薬品業界を取り巻く課題として、人材不足が深刻となっている状況を踏まえ、本講座の研究・教育活動は、医薬品を安心して使用できる社会になるために貢献していくと話し、最後に関係機関、関係者に謝辞を述べました。

 原助教は、2021年3月に九州大学で博士の学位を取得の後、生命現象を解き明かすために数理モデルを使った理論研究を専門に行い、疾患発症関連のデータ解析にも携わるなど、これまで数理生物学者として健康維持や疾患発症の仕組みを研究してきております。
原助教は、「本講座では、薬学の課題に根差したデータサイエンスと数理解析の教育・研究基盤を構築するとし、薬学をはじめとした生命現象を扱う学問分野では、一目見ただけでは理解が難しい、複雑な要素の絡み合う研究課題にチャレンジし、データ解析・数理解析手法の力を借りて、理解の切り口を複数の視点から柔軟に探し出し、くすりに関連する複雑な事象の仕組みを解明していきたい」と述べました。
 また、将来くすりに関わる多彩な分野で活躍する学生が、富山大学薬学部でデータサイエンスと数理解析の知識・技術を培い、それぞれの場で役立てられるよう、教育・研究の両面に貢献していきたいと話し、最後に関係機関、関係者に謝辞を述べました。

最後に松谷裕二薬学部副学部長による記念講演会の総括と閉会の挨拶により、盛会裏に終了しました。

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