研究室

薬物治療学研究室

教授 新田 淳美 准教授 宮本 嘉明 助教 宇野 恭介

 うつ病,統合失調症や認知症などの精神神経疾患では,薬物療法が治療の大きな部分を占めます。効果のある薬の創生が患者さんの福音となることから,我々,薬学系研究者は全力で病因解明やモデル動物の作成に取り組み,治療薬の開発に繋がる研究をしなければなりません。本研究室では,行動薬理学,細胞生物学および分子生物学などの脳科学に関係する手法を網羅的に利用して,未開の”脳”を切り拓くことにより,精神神経疾患治療薬の創出に繋がる基礎および臨床研究を行っています。主な研究テーマは以下です。

主な研究テーマ

  • 1. 新規神経機能分子の生理機能解明のための行動薬理および分子生物学的研究
     私たちが,作成した精神疾患様行動を示すマウスにおいて新たに見つかってきた遺伝子についてその役割を解析しています。
  • 2. 薬物依存の研究
     ヒトはなぜ覚醒剤から抜け出せないのか,また何故禁煙が難しいのかを検討します。
  • 3. 精神神経疾患モデル動物や細胞モデルの開発と治療薬の開発
     新しい薬を創るためには,その疾患のモデル動物が必須ですが,完璧なモデルの作成は困難なのが実情です。そこで,精神神経疾患発症の遺伝的要因と環境的要因について追求し,モデル動物の作成と治療薬の創生を目指しています。
  • 4. 精神神経疾患関連病診断キットの開発
     精神疾患は早くに見つかるほど治療が容易です。うつ病等の精神疾患の初期段階で診断ができる方法を確立し,それをキット化することで,患者さんが自分の病気に気づき専門医の診断を受けることを促すようにします。
  • 5. 脳保護作用を持つ神経栄養因子の産生を誘導する低分子化合物の神経変性疾患治療薬への応用
     脳内で神経栄養因子の産生を誘導することが出来る低分子化合物が神経変性疾患治療薬となり得るかを検討しています。今までにアルツハイマー病,うつ病や物忘れの薬になることを見出しています。
  • 6. 薬学的臨床研究
     上記のような基礎的な研究の他に,薬剤師が医療現場で直面している問題を解決するための薬学的臨床分野のテーマについても精力的に取り組んでいます。

【参考文献】
新田淳美;依存症の現状-アルコールおよび向精神薬の乱用について. ファルマシア47;839-843(2011)
UnoK et al.,The Piccolo intronic single nucleotide polymorphism rs13438494 regulates dopamine and serotonin uptake and shows associations with dependence-like behavior in genomic association study. Curr Mol Med. 2015; 15: 265-274.
Miyamoto Y et al.,Overexpression of Shati/Nat81,an N-acetyltransferase,in the nucleus accumbens attenuates the response to methamphetamine via activation of group Ⅱ mGluRs in mice. Int J Neuropsychopharmacol. 2014; 17: 1283-1294.