研究室

分子細胞機能学研究室

教授 宗 孝紀 准教授 守田 雅志 助教 川口 甲介

私たちの研究室は、細胞に発現する分子がシグナル伝達、代謝反応、オルガネラ機能をどのように制御し、この機能の破綻による免疫や神経系などの生体の高次生命システムへの影響が、どのように疾患に結びつくかを調べています。

免疫細胞の機能制御に関わる新しいサイトカイン受容体シグナル機構

細胞内タンパク質である TRAF(TNF receptor-associated factor)は、哺乳類では C末端に特徴的なドメインをもつ TRAF1 ~ TRAF6 の6つのファミリー分子で構成されます。T 細胞などの免疫細胞に発現する様々な受容体に結合する TRAF 分子がその受容体のシグナル伝達をその状況に応じて正と負に調節することが最近の研究から明らかになってきました。しかし、その仕組みがよくわかっていません。
例えば TRAF には、代表的な炎症性サイトカインである TNF(tumor necrosis factor)やそのファミリー分子の受容体のシグナル伝達を促進する機能があります。T 細胞における TRAF の機能を調べていた時に、TRAF2 や TRAF5 が別の炎症性サイトカインである IL-6(interleukin-6)の受容体に結合し、そのシグナル伝達能を抑制することを見出しました。
TRAF や TNF 受容体ファミリー分子群(OX40など)における未知のシグナル伝達機能の同定を目指すとともに、これら分子の炎症性疾患や自己免疫疾患における役割を理解するために研究しています。

ABC トランスポーターの機能と疾患

ABC(ATP Binding Cassette)トランスポーター・サブファミリーD は、4種(ABCD1 から ABCD4)のファミリー分子から構成されています。私たちは、ペルオキシソームやリソソームにおける ABCD トランスポーターの基質(極長鎖脂肪酸やビタミンB12など)の輸送に関する分子機構の詳細と疾患でみられる輸送障害について解析しています。また、副腎白質ジストロフィーはペルオキシソーム膜 ABCD1 の機能欠損を原因とする難治性神経変性疾患で、大脳における炎症を伴う進行性脱髄を特徴とします。ABCD1 を欠損した免疫担当細胞がどの様に脳内で神経変性の発症に関わっているのかを研究しています。

主な研究テーマ

  • 1. TRAF による炎症サイトカインシグナル制御機構
  • 2. TNF 関連分子群による T 細胞制御機構
  • 3. ATP-binding cassette(ABC)タンパク質(ABCD1-4)の構造と機能解明
  • 4. 副腎白質ジストロフィーの分子病態の解明と治療薬開発